第55章

彼はたった今、赤ん坊の様子を見てきたところだった。

保育器のガラス越しに、そのしわくちゃの小さな命が静かに眠っている。

彼はそこに立ち尽くし、長いこと見つめていた。顔に表情はないが、その瞳の奥底では、何かが微かに揺らめいているようだった。

ふと顔を上げ、何気なく廊下へ視線を向ける。

ちょうど、航と遠が肩を並べて歩き去っていく後ろ姿が目に入った。

二人は談笑しており、航の手は遠の肩に回されている。その様子はごく自然で親しげだった。

後ろから見れば、まるで本当の家族のように調和が取れている。

蓮の足が止まった。

彼はそのまま立ち尽くし、無表情のまま、遠ざかっていく二人の背中を見送...

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