第57章

航は彼女を見つめたまま、何も言わなかった。

「裏に誰かいるんでしょう?」

知意は淡々と口にした。

航は数秒沈黙し、やがて頷いた。

「従兄が提出した最後の証拠で、その男に特定されたんだ」

知意の足が止まった。

行き交う人々でごった返す病院の廊下に立ち尽くす彼女だけが、まるで真空地帯に取り残されたかのようだった。

しばらくして、彼女はふっと笑った。

「予想通りね」

航は彼女を見つめ、何か言おうとしたが、言葉が見つからなかった。

知意は再び歩き出した。その顔に余分な感情は一切浮かんでいない。

当然、予想していた。

清香が本当に引きずり出されるわけがない。

彼女は橘家のお嬢...

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