第59章

蓮は沈黙したまま、何も応えなかった。そのカードを手に取り、少し裏表を眺めてから、引き出しの中へ放り込んだ。

「他に用は?」

その声は相変わらず冷え切っている。

航は首を横に振った。内心、呆れ果てていた。

自分が何を言っても無駄だとは分かっている。それでも、言うべきことは言っておきたかった。

「いや、もういい。俺は帰る」

ドアのところまで歩き、もう一度だけ振り返る。

蓮は窓際に立ち、こちらに背を向けていた。差し込む陽光が、そのどこか孤独な輪郭を浮き彫りにしている。

(こういう男が一番胸糞悪い。見ていて不快になるだけで、魅力なんて欠片もない。だが、あのドMなヒロインとくっつくなら...

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