第66章

「その時はその時よ」

知意の口調は相変わらず穏やかだった。

「今そんなことを考えても仕方ないわ。仕事をこなして、できることを全部やる。あとは、事が起きてから対処するだけよ」

晩は彼女を見つめた。

その眉目には余裕が満ちている。五年前、蓮の一言で心を砕かれ、涙を流していた知意は、もうどこにもいなかった。

「ずいぶんと割り切ってるのね」

晩はため息をついた。

「私だったら、たぶん毎日眠れなくなるわ」

知意の口角がわずかに上がる。

「眠れなくて、何か解決する?」

「それもそうね」

晩は頷き、ふと何かを思い出したように言った。

「でも、誰かが彼を牽制してくれればいいんだけど」...

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