第72章

午前六時半、空が白み始めていた。

知意はスポーツウェアに着替え、マンション裏にある公園の遊歩道に沿ってジョギングを始めた。

このコースを走り始めてもうすぐ二週間。目を閉じていても、沿道にプラタナスの木が何本あるか数えられるほどだ。

草木の清々しい香りが漂うなか、彼女は決して急がず、一定のペースを刻んでいく。

少し走ったところで、背後から足音が近づき、若い男が追いついてきた。

「お姉さん、一人で走ってんの? 俺もこの辺に住んでるからさ、今度一緒にどう」

知意は横目で彼をちらりと見た。

「結構です。一人が好きなので」

言い終えるか終えないかのうちに、別の影が後ろから追いかけてきて...

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