第78章

午後、知意はパソコンの前に向かい、キーボードの上で指を走らせて最後の修正案を仕上げていた。

画面右下の数字が六時半に変わる。彼女はファイルを保存してノートパソコンを閉じ、少し疲れた目を揉んだ。

オフィスビルを出ると、空の端にはすでに夕闇が広がり始めていた。

いつものように右へ曲がり、タクシーを拾うために馴染みの交差点へ向かおうとする。

だが、視界の端に何かが映り込み、その足がぴたりと止まった。

少し離れた場所に停まるセダンの傍ら。蓮が車体に寄りかかり、火のついていない煙草を指に挟んで立っていた。

ダークグレーのシャツを着て、袖口を無造作に捲り上げている。その視線はビルの出口に向け...

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