第82章

蓮は腕の中の光を見つめ、相変わらず穏やかな表情を浮かべていた。

「ああ、パパと一緒に帰って寝ようね」

そう言って清香に視線を向ける。清香は言いかけた言葉を飲み込み、笑顔を作って蓮を見つめ返した。

「蓮、それじゃあ気をつけて帰ってね」

蓮は小さく頷き、光を抱いたまま背を向けて歩き出した。

冴子も慌てて大小の荷物をひっつかみ、小走りで後を追う。もはや清香に気を配る余裕など微塵もなかった。

清香はその場に立ち尽くし、両手をきつく握りしめた。

……

週末。知意が脚本の最後のページを書き終え、しょぼつく目をこすっていると、スマートフォンが鳴った。

画面には『梨々香』の名前が点滅してい...

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