第83章

「お姉ちゃんも食べて」

知意は微笑んでそれを受け取り、優しく声をかけた。

「光くんが食べて。お姉ちゃんはお腹空いてないから。でも、少しだけにしておこうね。お家でご飯食べてきたんでしょ? 食べすぎるとお腹が痛くなっちゃうよ」

光はこくりと頷き、大人しく小さな口で少しずつかじり始めた。

朝の光が次第に強さを増し、校門前には子どもたちの姿が増えていく。

ふと、二人の上に影が落ちた。

知意は顔を上げる。

数歩離れた場所に、蓮が立っていた。逆光になり、その表情は窺えない。

彼はただそこに佇み、しゃがみ込む女と、パンを頬張る子どもをじっと見下ろしていた。

空気が一瞬にして静まり返る。

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