第87章

翌日、知意は心地よい目覚めを迎えた。

朝早く目を覚ますと、ルームウェアに着替え、エプロンを締めてキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けた。

脳裏には、光の言葉が響いていた。

彼女の作ったケーキが食べたい、と。

そう思うと、知意は深く息を吸い込み、他のことはすべて後回しにして作業に取りかかった。

卵を割りほぐし、粉をふるい、バターを溶かして生地を混ぜ合わせる。

一つひとつの動作が丁寧で集中しており、まるで極めて重要な使命を果たしているかのようだった。

オーブンを予熱し、型に流し込んだ生地を入れ、タイマーをセットする。

焼き上がるのを待つ間、彼女はキッチンの入り口に寄りかかり、オーブンの...

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