第90章

パソコンの電源を落として寝ようとした矢先、不意にスマートフォンが鳴った。

「お姉ちゃん!」

電話の向こうから、泣き出しそうな光の声が聞こえてきた。

「どうしてまだ帰ってこないの? もう何日もお姉ちゃんに会ってないよ! 会いたいよ! パパはお姉ちゃんが忙しいって言うけど、早く帰ってきてくれないと、僕、寝ちゃうよ……」

その涙声交じりの幼い声を聞いた瞬間、知意の胸は強く締め付けられ、それまでの冷静さが一気に柔らかいものへと溶けていった。

彼女は声を和らげた。

「光、いい子だから聞いて。お姉ちゃん、もうすぐ帰るからね。ちゃんと寝て待ってて。帰ったらすぐ光のところに行くから、ね?」

「...

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