第4章

高橋咲良視点

恵美の部屋は、ピンク色のお姫様グッズの大爆発が科学実験室に激突したかのようだった。机の上には、自慢げに火山模型が鎮座している。紙粘土で作り、赤と茶色の縞模様が丁寧に塗り分けられていた。

「お母さん、見て!お酢を入れると、ドカン!ってなるの!」恵美は興奮で目を輝かせ、大げさな身振り手振りで説明してくれた。「それでね、重曹が化学反応を起こすんだよ!」

私はユニコーン柄のラグの上であぐらをかき、私の小さな天才科学者が、明智学園で明日開かれるSTEMショーケースの予行演習をするのを見守っていた。

「すごいじゃない、恵美。よく頑張ったわね」私は、彼女のポニーテールからこぼれた髪を一筋、撫でつけてやった。

恵美の顔が、さらにぱっと明るくなる。「お父さん、明日本当に来てくれるかな?この前の学校行事、三回も来なかったんだよ」

私は必死に明るい声を作って答えた。「もちろんよ、恵美。約束したじゃない?」

恵美はつま先でぴょんぴょん跳ねた。「火山模型、お父さんに見せたいな!『化学反応』って言う練習も十回したんだよ!見てて――化学反応、化学反応、かがくはんのう――」

彼女はスキップして化粧台へ向かうと、ピンクの蝶々の髪留めを手に取った。何ヶ月も前、健太がまだそういうことに気づいてくれた頃に、きれいだと褒めてくれたものだ。「これ、つけていきたいな。お父さんがきれいだって言ってたから」

喉が、きゅっと締め付けられた。

恵美はベッドに入ってからも、火山や実験の話をぺちゃくちゃと続けていた。私が布団をかけてやると、彼女は私の手を握った。

「お母さん?お父さん、私のことスマホで撮るかな、それとも、ちゃんとお目々で見てくれるかな?」

その無邪気な問いに、胸が張り裂けそうになった。私は答えた。「お目々で見てくれるわよ、恵美。ずっと、ずーっとね」

土曜の午後、二時。

恵美は隣をぴょんぴょんと跳ねるように歩いている。小さなリュックは火山模型の道具でパンパンに膨らんでいた。黄色いサンドレスに蝶々の髪留めという出で立ちに落ち着くまで、三回も着替えたのだ。

彼女が言った。「お母さん、お父さんの車、見える?」

あった――健太の黒いテスラ・モデルSが、入り口近くの特別駐車場で輝いている。

私は答えた。「ええ、恵美。あそこよ。来てくれてるわ」

恵美はきゃっと声を上げると、校門に向かって駆け出した。私も急いで後を追う。自分の心臓も速く脈打っていた。私が間違っていたのかもしれない。これが、私たちがまだ大切なんだと示す健太なりの方法なのかもしれない。

恵美は人混みをかき分け、お父さんの姿を探す。

「いた!お父さんだ!」

恵美が指さす方を見て、私は胃がずしりと落ちるような感覚に襲われた。

健太は受付テーブルの近くに立っていた。隣には、クリーム色のシルクブラウスとオーダーメイドのパンツをさらりと着こなした松下真理恵が、いとも優雅に佇んでいる。そしてその手を握っているのは、松下真理恵の娘、美空ちゃんだった。

「お母さん、どうしてお父さん、あのきれいな人と小さい女の子と一緒にいるの?」恵美の声は小さく、戸惑いに満ちていた。彼女は走るのをやめ、私の隣で、まるで凍りついたように立ち尽くした。その興奮は、穴の開いた風船のように急速にしぼんでいった。

「きっと……ビジネスパートナーなのよ、恵美。挨拶しに行きましょう」

だが、そう口にしながらも、私は分かっていた。松下真理恵が笑ったときの健太の輝くような表情。美空ちゃんの肩に置かれた、守るような手。まるで一つの家族であるかのような、二人の親密な距離感。

恵美は私の手を引き、再び声を輝かせた。「あの子も私の火山模型、見たいかもしれない!」

私は恵美の手を、さらに強く握りしめた。「さあ、行きましょう、恵美」

会場は、人脈作りに励む親たちの熱気でざわついていた。まるで公園で遊ぶ約束でもするかのように、名刺が気軽に行き交っている。健太はその中心に、まさに水を得た魚のように立っていた。

恵美は私の手を振りほどき、彼に向かって駆け寄った。

「お父さん!私の火山模型、見に来て!三回も爆発させたんだよ!」

彼女は健太の足に、小さな両腕でしがみついた。ほんの一瞬、彼の顔に純粋な、本能的な愛情が浮かんだ――昔の健太、寝る前に絵本を読んでくれたり、恐竜の形をしたパンケーキを焼いてくれたりした、あの頃の健太の顔が。

だが、現実はすぐに彼を引き戻した。

健太は素早く手を伸ばすと、驚くほどの力で恵美をぐいと突き放した。「今、何と呼んだ?」彼の声は冷たかった。「人前では行儀良くしろ!」

彼の声は、刃物のように鋭く、冷たかった。恵美は後ずさり、その顔には困惑と傷ついた色が浮かんだ。

私たちの周りの会話が、気まずく途切れた。

恵美は、あの信頼しきった茶色い瞳で健太を見上げた。「でも、お父さん、私の化学反応、見たくないの?」

「私はお前の――」健太ははっと我に返り、周りの視線に気づいて口をつぐんだ。「この話は後だ」

恵美の火山模型は、精巧なロボットの展示と、博士号でもなければ理解できそうにないDNA模型の間に、ぽつんと置かれていた。

黄色いサンドレスを着た彼女は、テーブルの後ろに立ち、さっきまでの興奮を取り戻そうとしていたが、その瞳に影が差しているのが私には分かった。

そこへ、まるで金髪の嵐のように、松下美空が火山模型のテーブルの横に姿を現した。

「こんな赤ちゃんみたいな火山、馬鹿みたい」彼女は周りの子供たちの注目を集めるように、大声で言い放った。「私のロボットは、算数の問題も解けるし、三ヶ国語も話せるのよ」

恵美の小さな手が、きゅっと拳を握りしめた。「でも、お父さんは私の化学反応をすごいって言ってくれるもん……」

松下美空は笑った――ガラスが割れるような甲高い声だった。「あの人、本当のお父さんじゃないでしょ!私のお母さんが言ってたわ、あなたのことなんていないフリをしてるんだって!」

その言葉は、まるで殴られたかのように恵美を打ちのめした。彼女の顔は真っ青になり、次いで赤くなり、そしてまた真っ白になった。

「そんなの、嘘……」恵美の声はかろうじて聞き取れるほどの囁きだった。「お父さんは、私のこと、愛してるもん……」

「じゃあ、どうしてあの人はあなたのこと、『私の娘』じゃなくて『あの子の娘』って呼ぶの?」松下美空は恵美の肩を、よろめくほど強く押した。「あなたなんて、ただあの人にくっついて回ってるお手伝いさんの子だって、私のお母さん、言ってたわ」

恵美の目に涙が溢れたが、彼女は唇を噛みしめ、必死に健気に振る舞おうとした。小さな指が髪の蝶々の髪留め――かつて健太がきれいだと言ってくれたそれ――を見つけ、お守りのように握りしめた。

もう十分だった。私は恵美の肩に手を置いた。「さあ、恵美。行きましょう」

駐車場は、まるで逃げ道のように感じられた。私は恵美の手を固く握った。恵美の足取りは小さく、おぼつかない。今朝のような、弾むようなスキップではなかった。

「咲良、待ってくれ!」健太の声が聞こえた。私は振り返らなかった。

「咲良、頼む!説明させてくれ」

彼の足音が、後ろから速足で近づいてくる。私の手の中で、恵美の手が固く握られるのを感じた。

「お母さん」彼女は囁いた。「どうして、お父さんって呼んじゃいけないの?」

私は立ち止まった。振り返ると、健太はほとんど半狂乱といった様子で、完璧な社長としての仮面がついにひび割れているようだった。

彼は続けた。「咲良、君には俺がどれだけのプレッシャーの中にいるか分からないんだ。松下さんは重要なコネクションを――」

私は言った。「説明は要らないわ、高橋健太。よく分かったから」

健太は叫んだ。「分かってない!これは資金調達のために――俺たちの未来のために重要だったんだ!」

私は彼を――高橋健太を、じっと見つめた。高価な服、完璧に整えられた髪、そしてその目に浮かぶ必死さ。かつて私の夫だった、この見知らぬ男を。

私は答えた。「あなたのアルゴリズムは正しかったわ、高橋健太。キャリアアップ、社会的地位、松下真理恵――すべての変数を計算し尽くしたのね」

私は車のドアを開け、恵美をチャイルドシートに座らせた。彼女の顔は、もう隠そうともしない涙で濡れていた。

「ただ、繰り上げるのを忘れただけよ。私と恵美という、余りをね。でも、いいの」私は最後に一度だけ、彼の目を見つめた。「私たちは、もとからあなたの成功の方程式には入っていなかったんだから」

私は運転席に乗り込み、エンジンをかけた。バックミラーに、駐車場に一人佇む健太の姿が映っていた。

「お母さん」後部座席から恵美が静かに尋ねた。「おうちに帰るの?」

私はバックミラーに映る娘の姿を見た――蝶々の髪留めをつけた、傷心の、私の勇敢な小さな科学者。それから、ミラーの中で小さくなっていく健太の姿に目をやった。

「ええ、恵美。おうちに帰りましょう」

だが、私の言う『おうち』は、高橋健太のいる家ではなかった。

その夜、恵美はピンクの蝶々の髪留めを、そっとベッドサイドのテーブルに置いた。彼女が二度と、お父さんに火山模型を見せたいと口にすることはなかった。

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