第10章

浅沢瑶の体が、わずかに揺れた。盛岡晃のその冷えきった言葉は、すでに感覚を失いかけた心へ、それでももう一度きっちり突き刺さる。

彼女は反論しなかった。ただ従順に立ち上がり、手提げを持って、そのまま背を向ける。

その後ろ姿はまるで、刑場へ向かう死刑囚みたいだった。静かで、あまりに異様なほどに。

盛岡晃は、彼女がためらいもなく個室のドアを開けて出ていくのを見つめながら、胸の内の苛立ちをますます膨れ上がらせていく。火のついた糸のもつれみたいに、わけもなく気に障る。

彼は残っていた酒を一気に飲み干した。けれど、アルコールですらその名もない苛立ちを押さえ込めない。

武藤社長は様子をうかがい、媚...

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