第17章

彼の第一声は、いつだって彼女の悪意を邪推するものだった。

浅沢瑶の心はとうに麻痺し、痛みすら感じなくなっていた。

彼女はただ顔を上げ、怒りに満ちた彼の瞳を静かに見返して、波のない声で言った。

「祖父が、この病院に入院しているの」

盛岡晃ははっとし、顔に浮かんでいた怒りが一瞬固まった。

そこでようやく、彼は彼女の紙のように白い顔色と、光の欠片もない空虚な瞳に気づいた。

その姿は、たしかに難癖をつけに来た人間のものには見えない。

名状しがたい感情が彼の胸の奥をかすめたが、それは捕まえる間もないほど一瞬だった。

昼間に盛岡静江から釘を刺されたのが効いたのか、あるいは彼女のその壊れそ...

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