第25章

会社の部長である斉藤からの電話だった。

「瑶、今すぐ準備してくれ。午後から俺と一緒に臨海市へ行くぞ。城南エリアの新区で開催されるビジネスサミットの参加枠を二つ確保できたんだ。君も同行してくれ」

斉藤の口調は少し慌ただしかったが、隠しきれない興奮が滲んでいた。

浅沢瑶は一瞬だけ呆然としたが、すぐに頷いた。

「はい、すぐに準備します」

電話を切ると、彼女の胸の奥に久しく忘れていた弾むような感情が湧き上がった。

出張。それはつまり、この息の詰まるような屋敷から大手を振って離れ、盛岡晃の監視から逃れられることを意味していた。たとえ数日間であっても、今の彼女にとっては贅沢すぎるほどの息抜き...

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