第35章

彼女は重い瞼をわずかに開けた。ぼやけた視界の中に、背が高く冷ややかな輪郭だけが映る。

彼、戻ってきたの?

浅沢瑶の意識はまだぼんやりしていたが、心の中にどうしようもなく馬鹿げた考えが浮かんだ。

あんなに激怒していたのだから、今夜はもう戻ってこないだろうし、自分がどうなろうと放置されるものだとばかり思っていた。

彼にも、人を看病するようなところがあったなんて。

その考えは一瞬よぎっただけで、すぐに底なしの倦怠感に飲み込まれ、彼女は再び深い眠りに落ちた。

翌朝目を覚ますと、窓の外はすでにすっかり明るくなっていた。

体の熱は引き、あとに残っているのは全身の気怠さだけだった。

盛岡晃...

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