第49章

胃腸炎? これほど重い症状は見たことがない。彼は手を伸ばして彼女の額に触れた。掌に伝わってきたのは、氷のような冷たさだった。

「だめだ、病院へ行くぞ」

有無を言わさぬ口調で、彼は再び彼女を抱き上げた。

浅沢瑶ははっと目を見開き、もがくように彼を突き放した。

病院へ行くわけにはいかない。少なくとも、今は。

「いや……行かない……」

切羽詰まった声には、微かな怯えが混じっていた。

「浅沢瑶!」

盛岡晃は眉間をきつく寄せ、その声には強引な怒気が滲んでいた。

「盛岡晃、あなたには心に決めた人がいるんでしょう?」

浅沢瑶は彼の襟首をきつく掴んだ。痛みで潤んだその目には、今や絶望的な...

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