第60章

彼は横目で彼女を見やり、絶対に自分の思い通りにするという冷酷な光を瞳に宿していた。

「世間では俺たちの不仲説が飛び交っている。盛岡家がおまえを冷遇しているとまで言う奴もいるくらいだ。この協議書にサインしろ。明日には広報部から発表させる。おまえが盛岡グループの大株主でいる限り、くだらない噂も自然と消え、株価も安定する」

浅沢瑶は、書類を握る指の関節が白くなるほど力を込めた。

今日、彼が自分を本家へ連れて帰るのは、ほんの少しでも自分を引き留めたいという気持ちがあるからではないか。彼女は密かにそう期待していた。

だが違った。この数百億の株式も、彼にとっては自分の地位を固め、世間の目を誤魔化...

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