第66章

浅沢瑶は食事を終えたばかりだというのに、胃の奥で馴染みのある鈍い痛みが、またじわじわと這い上がってきた。

彼女は無表情のままトレイを返却口へ戻し、宇佐美萌の嫌悪に満ちた当てつけのような振る舞いにも、一切目を向けなかった。

食べ物を粗末にしようが、わざとらしく媚びを売ろうが、自分には関係のないことだ。

オフィスに戻って席に着いた途端、スマホが短く震えた。長谷川薫からのメッセージだった。

『午後からAIビジョンラボへ行く。関連資料を準備して、同行してくれ』

浅沢瑶は「承知いたしました」とだけ返し、すぐさま膨大なデータベースからラボのプロジェクトに関する中核資料をいくつか引き出した。

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