第4章
翌日の夕方、私が台所で夕食の支度をしていると、書斎の方から激しい口論が聞こえてきた。半開きのドア越しに、電話に向かって怒鳴り散らすドミニクの姿が見えた。
「手段などどうでもいい、今すぐ突き止めろ!」
彼が受話器を叩きつけるように置くと、すぐにイザベラが入り口に現れた。黒いドレスを身にまとい、顔にはまだ涙の跡が残っている。
「ドミニク、あなたに言わなきゃいけないことがあるの」彼女は声を詰まらせながら言った。「ヴァレンティーナのことよ」
このくそ女、一体何を企んでやがる?
私は書斎のドアへ忍び寄り、物陰に隠れて盗み聞きをした。
「なんだ?」ドミニクの声は氷のように冷たかった。
「あなたが見つけた日記……誰が書いたのか分かったの」イザベラは言った。「FBIにいる友人に筆跡鑑定を頼んだわ。私じゃないの、ドミニク。あれは彼女が書いたものよ」
彼女が何かを手渡したのだろう、紙が擦れる音が聞こえた。
イザベラは続けた。「彼女は私たち二人を弄んでいたのよ。あなたが私を疑っている間に、彼女はもっと恐ろしいことを計画していたわ」
私の膝から力が抜けた。どうやってそんなに早く筆跡鑑定なんてできたのよ?
「なんてことだ……」ドミニクの声は恐ろしいほど静かだった。「あいつは俺に君を疑わせ、その裏で……」
「ヴァレンティーナに脅されたの」イザベラは泣き崩れた。「もし自分に子供ができないなら、他のどの女にもあなたの子は産ませないって……たとえあなた自身を消してでも、って」
「どういう意味だ?」ドミニクの声が危険な低音を帯びる。
「彼女が台所で奇妙な薬草をすり潰して、こっそりあなたのワインに入れているのを見たわ……。ただの隠し味かと思っていたけれど、今にして思えば……」
「あいつが俺に毒を盛っていたというのか?」
グラスが割れる音がして、足音が近づいてくる。私は急いで台所へ戻り、野菜を刻むことに集中するふりをした。
数秒後、ドミニクが台所の入り口に現れた。その瞳には怒りの炎が燃え盛っている。
「ヴァレンティーナ」彼の声は氷点下の冷たさだった。
私は振り返った。「どうしたの、ドミニク?」
突然、彼の手が私の喉を掴み、壁に激しく叩きつけた。「この悪女め!」
「ドミニク、何をするの?」息ができない。
「俺が知らないとでも思ったか?」彼の目には狂気が宿っていた。「俺に少しずつ毒を盛っていただろう!」
「そんなことしていないわ!」私は必死に抵抗した。「ドミニク、信じて!」
しかし、彼は完全に理性を失っていた。彼が手を離すと、私は床に崩れ落ち、激しく咳き込んだ。
彼は吠えるように叫んだ。「てめえだったのか、俺の体を蝕んでいた悪魔は!」
「違うわ……」私は起き上がろうとした。
彼が私の脇腹を蹴り上げ、私は激痛に身を丸めた。
「全員、ここへ来い!」彼の怒号が邸宅中を震わせた。
十分後、私は部屋の中央に跪かされていた。顔にはドミニクにつけられた手形がくっきりと残っている。
「ヴァレンティーナ・コレオーネ」ドミニクが私の前に立ちふさがり、厳粛かつ冷酷な声で告げた。「てめえを、一族の血を絶やそうとした殺人未遂および、一族への反逆の罪で告発する!」
「ドミニク、私はやってな――」
「黙れ!」彼の手が私の首に伸び、聖母マリアのネックレスが乱暴に引っ張られるのを感じた。
「やめて!」私は叫んだ。「それは母さんの――」
鎖がちぎれ、金属が肌に食い込み、温かい血が首筋を伝う。ネックレスは澄んだ音を立てて床に落ちた。
「赤ん坊を殺すような悪魔に、聖母マリアの加護などあるものか!」ドミニクはネックレスを拾い上げ、それを掴もうとした私の指を踏みつけた。
爪が割れる痛みに、私は悲鳴を上げた。
「ドミニク、それは母さんが残してくれた唯一のものなの……お願い……」涙ながらに懇願したが、彼はさらに力を込めて踏みつけ、指の骨が折れそうなほどの圧力がかかった。
「お前の母親は殺人鬼を産んだんだ!」彼は冷笑した。「お前のしでかしたことを見れば、天国で恥じ入っていることだろうな!」
ドミニクは足を退けると、部屋の隅に座っているイザベラの方へと歩み寄った。彼女は恐怖に怯えるふりをしていたが、その目は偽りの同情で輝いていた。
「ドミニク、そこまでしなくても……ヴァレンティーナが……」彼女の声は優しかったが、この瞬間を心底楽しんでいることは分かっていた。
「いや」ドミニクはそのネックレスを彼女の首にかけた。「聖母の加護にふさわしいのは君だけだ」
イザベラの白い肌に映えるネックレスは、まるで私の目を射る光の矢のようだった。
「今から」ドミニクは私に向き直った。「お前は地下室で暮らせ。そこがお前の居場所だ」
「ドミニク……私はあなたの妻よ……」私の声はかろうじて聞き取れるほどの囁きだった。
「てめえは一族の裏切り者だ!」彼は怒鳴った。「女としての基本的な務めも果たせん、無能な役立たずが!」
地下室は冷たく、暗かった。隅には壊れた簡易ベッドと小さな流し台、そしてひび割れた便器があるだけだ。かつては物置だった場所が、今では私の独房となっていた。
最初の食事は、家族の食事の時間だった。私はダイニングテーブルの横で跪かされ、目の前には残飯で満たされた犬用の餌入れが置かれた。
「食え」ドミニクは言った。「お前にお似合いの食事だ」
全員が私を見ていた。そしてイザベラも。彼女はかつて私の席だった場所に座り、母のネックレスを身につけ、ドミニクと親密そうに談笑している。
私は跪き、両手でその餌を掴んだ。口に入れるたびに砂を噛むような不快な味だったが、飲み込まなければならなかった。生き延びるために。復讐を果たすために。
「可哀想なヴァレンティーナ」イザベラはネックレスに軽く触れ、偽りの憐れみに満ちた声で言った。「最初から素直にしていれば、こんなことにはならなかったのに」
私は彼女を見上げ、瞳に宿る殺意を悟られないよう必死に抑え込んだ。
「ええ」私は静かに言った。「最初から素直にしていればよかったわ」
だが、私の心の中では狂ったような高笑いが響いていた。今のうちに楽しんでおくがいい、二人とも。すぐに本当の地獄というものを見せてやる。
深夜、私は冷え切った地下室で一人座り込み、首に残る痛む傷跡に触れた。血は乾いていたが、心の中では憎悪の炎がさらに熱く燃え盛っていた。
