第101章

談笑しながら立ち去る二人の姿。その間には、他者が入り込めないような親密な空気が漂っていた。

鴉崎響はその光景を凝視した。胸の奥に、鉛のような重石がのしかかる。

「天ノ川夢乃の家にいる」というのは、空港へ八朔綾人を迎えに行くための方便だったのか。

家に帰らないのは、この男と一緒にいるためなのか。

闇夜に並んで歩く二人の姿は、目に焼き付くほど痛々しい。

車内でそれを見送る響の瞳には、荒れ狂う嵐のような激情が渦巻いていた。

彼は、静かに車を発進させ、二人の後を追った。

やがて、月見華と八朔綾人は天ノ川夢乃の自宅に到着した。

夢乃は数字のキャンドルを立てた、小ぶりだが愛らしいバースデ...

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