第152章

翌朝、鴉崎響が目を覚ますと、ここしばらく味わったことのない安らぎに包まれていた。

ふと横を見ると、月見華はすでに起きていた。ベッドボードに背を預け、本を手にしているが、その視線はどこか遠くを漂い、物思いに耽っているようだった。

彼の気配に気づき、月見華が振り向く。

顔色は依然として蒼白だが、昨日までの氷のような冷たさは消え、代わりに奇妙なほどの静けさを湛えている。

鴉崎響は胸中で眉をひそめた。意外だった。

何より驚いたのは、彼女のほうから口を開いてきたことだ。

「目が覚めたのね。昨夜はいつ来たの」

責めないのか?

「夜更けだ。君はもう眠っていたから、起こさないようにした」

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