第160章

鴉崎響は言葉を継いだ。

「あっちで国境を跨ぐプロジェクトの処理が必要になった。ついでに君の気晴らしにもなるだろう。準備してくれ。一時間後に出発する」

「戻りはいつですか?」月見華は尋ねた。

「明々後日の午後だ」鴉崎響の声は淡々としていた。

明々後日……。彼女の飛行機の予定は、明々後日の夜だ。

月見華は頭の中で素早く計算する。

時間は多少タイトだが、順調にいけば出発前に全て片付けられるはずだ。

彼女はそれ以上何も言わず、承諾した。

最後の数日間、余計な波風は立てたくないし、彼を怒らせたくもない。

夜、二人は機上の人となった。

水平飛行に入ると、疲れが押し寄せたのか、月見華は...

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