第166章

薬の臭いが立ち込める空気の中で、兄弟二人は無言で対峙していた。

一人は長身で背筋が伸び、長らく支配者の座にある者特有の威圧感を放っている。

もう一人は虚弱で儚げだが、その瞳にはすべてを見透かしたような静けさが宿っていた。

長い沈黙を破ったのは、鴉崎理だった。

彼の声は軽く、そしてとてもゆっくりとしていた。「兄さん……華ちゃんは……元気?」

鴉崎響の背中が、ピクリと強張った。

彼は薄い唇を堅く引き結び、何も答えない。

鴉崎理は血の気のない唇を微かに歪め、自嘲気味に笑った。「僕……とても長い、長い夢を見ていた気がするんだ。

夢の中で、ある女の子がずっと僕の手を握って、眠らないでっ...

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