第173章

琥珀千紗は肘掛けを無意識に指で叩きながら、沈思していた。

やがて、彼女は決断を下したようだ。

「とりあえず、ここにいなさい」

琥珀千紗はそう言って手を振った。

これ以上の結果は望めないだろうと、月見華は心中で悟った。

彼女は黙って頷き、それ以上言葉を重ねることはしなかった。

そのまま、使用人の手引きで離れの静かな客室へと案内された。

その報せが鴉崎響の耳に入った時、彼はちょうどテレビ会議の真っ最中だった。

月見華が自ら本邸へ赴き、あろうことか琥珀千紗に引き留められたと聞き、彼の表情は瞬時に凍りつくほど陰った。

彼は即座に会議を打ち切り、本邸へと車を飛ばした。

宵闇が迫る頃...

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