第175章

やがて空は完全に白んだが、ICUの外の廊下は依然として重苦しい空気に覆われていた。

月見華は硝子窓の前に立ち尽くしていた。足の感覚はなくなり、体は冷え切っている。それでもなお、彼女は立ち去ろうとしない。

琥珀千紗は休憩室へ行くよう促され、去り際に月見華へ憎悪に満ちた視線を投げつけた。

廊下に残っているのはボディガードたちと、反対側で沈黙を守る漆野哲也だけだ。

漆野は硝子越しに、かつてあれほど威勢を誇りながら今は生気なく横たわる主を見つめ、胸に鬱屈したものを溜め込んでいた。

彼は何度かためらい、やがて意を決したように月見華の横へと歩み寄った。

「月見さん」

一呼吸置いて、彼は問い...

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