第177章

月見華は迷い、結局口をつぐんだ。

「華ちゃん、もう迷うことはないよ。今回は漆野哲也が君を解放してくれたからよかったものの、そうでなければどうなっていたか……」

彼の口調には漆野哲也への称賛が混じりつつも、安堵の色が濃かった。

「ありがとう、理さん」

月見華は低い声で礼を言った。その響きには苦さが滲む。

鴉崎理がこの場所を見つけ出せたということは、常に彼女の動向を監視していた証左だ。

彼はいつもそうだ。彼女が窮地に陥るたび、どこからともなく現れて手を差し伸べる。

「僕たちの仲じゃないか」

鴉崎理の眼差しはあくまで優しい。

彼は深く息を吸い、低く、しかし明瞭な言葉を紡いだ。

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