第178章

「あ……あなた……」

あまりの暴言に、琥珀千紗は目の前が真っ暗になるのを感じた。

従順で優しいと思っていた次男が、まさかあの女のために、これほど自分に逆らうとは夢にも思わなかったのだ。

「先生」

鴉崎理は、気まずそうにしている主治医に向き直った。その口調は、いつもの穏やかなものに戻っている。

「兄さんの容態は? 先ほど変化があったと?」

医師は額の汗を拭った。

「鴉崎社長は……予断を許さない状況です。今後二十四時間から七十二時間の間に重篤な合併症が起きれば、おそらく……覚悟が必要かと」

「つまり……兄さんは、この数日が山だと?」

鴉崎理の声がわずかに強張る。

医師は重々し...

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