第19章

月見華の心臓が、きゅっと音を立てて縮こまった。瞳の奥に、誰にも気づかせないほどの微かな憂色が走る。

心は、重度の先天性心疾患を患っていた。生まれつき体が弱く、ガラス細工のように脆い存在だ。

今回の一時帰国におけるスケジュールを、殺人的なまでに詰め込んだ理由もそこにある。一刻も早く、娘のもとへ戻るために。

「マミー、大丈夫だよ。心配しないで」

母の不安を敏感に察知した心が、画面の向こうで気丈に微笑む。

そこへ、朝霧一輝がひょっこりと顔を出し、カメラに向かっておどけた表情を見せた。

「心、おじさんのこと、会いたかったか?」

「会いたかったー!」心は鈴を転がすように笑った。「おじさん...

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