第45章

空見涼弦は怒りで顔を青ざめさせていたが、琥珀千紗に逆らう度胸などあろうはずもない。ただ小声で「あのガキ、失せろ」と毒づくのが関の山だった。

彼は股間を押さえながらエレベーターホールへと向かい、三階の客室で着替えることにした。

心はその背中を見つめ、瞳に勝ち誇ったような光を宿した。

彼女は周囲の隙を突き、腕時計型のカメラを向けて彼の後ろ姿を数枚撮影する。

それでもまだ気が済まず、こっそりと後を追った。

三階の廊下は静まり返っていた。賓客たちは皆、階下の会場にいる。

時折、客室係が通りかかるが、心は家族と電話をしているふりをして、巧みに問いかけをかわした。

やがて、空見涼弦が罵り声...

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