第112章

「手を挙げろ。騒ぐな、殺すぞ」

男の冷徹な声が響く。

神崎竹史はとっくに覚悟を決めていたが、表面上は恐怖に怯える演技をした。

「だ、誰だ? 何をするつもりだ」

彼はわざと声を震わせて尋ねる。

そんな神崎竹史に対し、男たちは冷たく言い放った。

「あんたが凄い薬を持ってるって聞いてな。あんたが持ってても宝の持ち腐れだ。俺たちに寄越しな」

その言葉を聞き、神崎竹史は内心で納得した。

やはり高橋祐介の読み通りだったか。彼は高神賢治の不穏な動きをいち早く察知し、あらかじめ偽の薬剤を用意してくれていたのだ。

中身は偽物だが、神崎竹史は惜しむような表情を作る。

「こ、この薬は手持ちが少...

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