第117章

そこまで話すと、佐能保雄の感情は激しく昂り始めた。

その双眸には、隠しきれない憎悪の炎が揺らめいている。

かつて、佐能家の当主は未婚だった。深山へ薬草の採取に赴いた際、保雄の母と出会い、彼女の家系が希少な薬草を数多く所持していることを知ったのだ。

その薬草を手に入れるためだけに、彼は保雄の母を騙し、未婚のまま子を孕ませた。

当時の社会通念は、現在ほど開放的ではない。

未婚の母というだけで人生は荊棘の道となる。それにもかかわらず、佐能当主は欲しいものだけを奪うと、そのまま深山を去り、二度と母のもとを訪れることはなかった。

その卑劣さを思うだけで、保雄は反吐が出るほどの嫌悪感を覚える...

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