第119章

その時、傍らに控える佐能記由の腹の底では、どす黒い怒りが渦巻いていた。この高橋祐介という男、あろうことかあの隠し子に肩入れし、自分の地位を脅かそうとしている。一体何の権利があって?

対照的に、佐能保雄は背筋をピンと伸ばしていた。かつての卑屈な姿はもうない。

彼の胸中にあるのは、高橋祐介への深い感謝だけだ。

頼りない実の父親より、高橋の方がよほど父親らしいとさえ感じていた。

だが、佐能家当主はそんな空気を読めない男ではない。彼は薄ら笑いを浮かべ、こう言い放った。

「後継者問題は、そう簡単に決められることではありませんよ。一言で決まるような軽い話ではない! それに高橋さん、あなたは佐能...

ログインして続きを読む