第127章

息子の確約を得て、尾川賢治はようやく手土産を準備し、息子を伴って松本家へと向かった。

松本家の老婦人は昨日、孫の夢子から話を聞いていたため、薬を服用し、気力を奮い立たせていた。

そのため、連絡を受けるとわざわざ玄関先で彼らを待ち受けていたのである。

屋敷に案内されると、尾川賢治は持参した滋養強壮の品々を差し出した。

「ご無沙汰しております、松本の大奥様。相変わらずお元気そうで何よりです」

その言葉に、老婦人は口元を緩めた。

「見かけだけですよ。体はもうガタがきています。あと二、三年生きられれば御の字でしょう」

それを聞き、尾川賢治はすかさず世辞を述べた。

「ご謙遜を。あと十年...

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