第260章 自ら厨房に立つ

 ジョゼが向日美香を褒めちぎるのを聞いて、高橋祐介は驚いたように目を見開いた。

「向日おばさんみたいに綺麗な人が、まさか料理もできるなんて思いませんでしたよ!」

 向日美香は謙遜して言った。

「この馬鹿息子が適当におだててるだけよ。私の料理なんて、ごく普通なんだから」

 それを聞いた隣の藤原太郎が、ふと感慨深げに口を挟んだ。

「昔、大学時代に君はよく『私の手料理を食べさせたい』と言っていたが、結局その機会がないままだったな。あれから何年も経ったというのに、俺はまだ一度も君の料理を食べていない」

 向日美香はふふっと笑い、それから真剣な表情になって言った。

「それじゃあ、時間があ...

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