第305章 江里口剛

運転手は手を伸ばして遊田敬二の胸ぐらをきつく掴み、今にも火を噴きそうな目で睨みつけた。

「俺の名前は江里口剛だ。聞いたことくらいあるだろう!」

その名を聞いた瞬間、遊田敬二の顔から血の気が一気に引いた。

江里口剛——その名を知らないはずがない。

佐藤立夫の側近の一人だ。

佐藤立夫が抱える四人の側近の中でも、この江里口剛は最も名が知れ渡っている男だった。

マイバッハを避けようとした結果、まさか江里口剛の車にぶつけてしまうとは。

遊田敬二は激しい後悔に苛まれた。いっそあのままマイバッハに突っ込んでいればよかった!

いや、そもそも高橋祐介と車のスピードを競うような真似をしたのが間違...

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