第353章 立ち去る

「本当なの? 嘘じゃないよね!」

福田彩花の顔に、ふっと希望の光が差した。

泥だらけのその様子を見て、相手は露骨に苛立ちを滲ませながらも、辛抱強く口を開く。

「わざわざここまで来て、お前を騙すとでも? 騙す価値が、お前にあるのか?」

その言葉を聞いた瞬間、福田彩花は堰を切ったように涙をこぼした。

「ありがとうございます……ありがとうございます、尾川さん!」

相手はそれを聞くと、横にいた手下へ嫌そうに顎をしゃくる。

「車に乗せろ」

手下はすぐに恭しく「はい」と応じた。

彼らはそのまま福田彩花を連れて立ち去ろうとする。

その時――少し離れたところから男が歩み寄り、いきなり怒鳴...

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