第355章 監獄を去る

刑務所の門前では、マイバッハが二台、すでにしばらく停車していた。

男は藤原麗と藤原おばあさんに目を向け、淡々と言った。

「そっち、後ろの車に乗れ」

マイバッハを目にした藤原おばあさんは、胸が高鳴った。こんな車を用意できる相手が、ただ者であるはずがない。

藤原家がいちばん勢いのあった頃でさえ、こんな車を買えるだけの余裕はなかった。仮に金があったとしても、それに見合う“立場”がなかったのだ。

藤原おばあさんは背筋を伸ばし、うやうやしく頭を下げた。

「承知いたしました。すぐに乗ります。ありがとうございます、旦那様」

そう言うなり、藤原おばあさんは藤原麗を連れて後方の車へ乗り込んだ。

...

ログインして続きを読む