第357章 一代は一代に及ばない

それは、野生で生きる猛獣と、動物園で生まれ育った猛獣を比べるようなものだ。

野生は環境が過酷で、何もかも自分の力でどうにかしなければならない。

だが動物園の獣は違う。目を開けた瞬間から餌が出てくる。心配など、最初から不要だ。

尾川賢治は、自分が父には及ばないと分かっていた。さらに言えば、息子は自分よりも劣る。こんな危機のさなか、胸の底から湧き上がるのは無力感だった。

頼みの父は昏睡状態。周りにいる者たちも自分以下。――この状況を覆す力など、どこにもない。

やりきれなさが心を塞いだ、そのとき。

弟の尾川昌浩が外から入ってきた。

「兄貴。連れてこいって言われた藤原家の連中、連れてき...

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