第381章 悲惨な父と子の二人

佐能哲広が冗談めかして言った。

「村のあの未亡人、酒を仕込めるだろ? あとで行って、ちょっと話してみな。ひょっとしたら、まだ酒が残ってるかもしれねえぞ」

父子は歩きながら取りとめもなく話し続け、ほどなく村の中へ入った。

だが自分たちの家には戻らない。夜陰に紛れて向かったのは、橋猟師の家だった。

山里の暮らしは貧しいとはいえ、山の恵みは多い。食いっぱぐれるほどではない。

昔の山の者たちは、しょっちゅう山へ入り、獲物を捕って食卓にのせていた。だが今では若い連中はみな出稼ぎに出て、狩りをする者はいなくなった。

橋猟師だけが、村で唯一の猟師だ。

肉が欲しければ、村の誰もが橋猟師のところ...

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