第388章 人が来た

佐能保雄は凍えた体を持て余し、落ち着きなく歩き回っていた。もうこのままじゃ、身体の芯まで固まってしまいそうだ。

ヘリが彼らをここまで運んだあと、高橋祐介はローター音で相手に気取られるのを嫌い、すぐに撤収させた。

あのままヘリの中にいれば、上田明たちももう少し暖を取れたはずなのに。

それからさらに一時間ほど待ったところで、遠くから車のエンジン音が唸りを上げて近づいてくる。

音を拾った上田明が高橋祐介のそばに寄り、低く告げた。

「坊っちゃん、この音……来たはずです」

高橋祐介は淡々と前方を見据える。

「ずいぶん待たせてくれたな。眠くなるところだった。ようやく来たか」

佐藤立夫がさ...

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