第389章 動手

その男は、ひたすら己の拳を鍛え上げてきた。

高橋祐介の目から見ても、相手の拳は常人より一回り大きい。表面には、うっすらと霊気がまとわりついている。

――修練者か。

あの拳で石でも殴れば、たぶん一撃で粉砕するだろう。

男は今年五十七歳。七歳のころから拳を淬えてきたらしく、拳法の腕は相当だ。

だが、高橋祐介は一瞬で見抜いた。

拳だけが少し強い――ただのゴミだ。

高橋祐介の前では、地べたの蟻と同じ。踏みつぶすのに、足を上げる必要すらない。

だから彼は避けもしない。笑みを浮かべ、そこに立ったまま相手を見ていた。

殴りかかった男はぎょっとした。拳が高橋祐介の顔に届く寸前だというのに、...

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