第400章

藤原おばあさんの言葉を聞いて、藤原公雄はようやく悟った。母親は――自分からうつされるのを恐れているのだと。

やっぱり、この人の世界では、誰よりも自分が一番大事なんだ。

「じゃあ、ここで待っててください。検査は私一人で受けますから」

藤原公雄はそう言い捨て、用紙を掴んで立ち上がろうとした。

ところが、背後から母親が呼び止める。

「こんな歳で、ここに座ってると妙に寒くてねぇ。結果が出たら、ちゃんとあたしにも見せておくれよ」

寒いから、ではない。死が怖いからだ。

命を縮めかねないものなら、彼女は反射的に避ける。息子が病気だと聞いて、しかもそれがエイズかもしれないとなった瞬間――心配す...

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