第402章

藤原のおばあさんは先に家へ戻った。けれど福田彩花に難癖をつけるどころか、自分の部屋へ直行し、部屋はもちろん廊下やトイレまで徹底的に消毒して回った。

汚すぎる――そう思えてならなかったのだ。

藤原公雄の検査結果には「HIV陰性」と書かれていた。それでもおばあさんの胸のざわつきは収まらない。触れそうな場所は片っ端から、もう一度、念入りに拭き上げた。

その頃、藤原公雄が不機嫌そうな顔で玄関をくぐった。

入った瞬間、鼻をくすぐるのは――甘く濃厚な香り。

胸の奥がむっと重くなる。そんな公雄の前へ、福田彩花がにこやかに台所から出てきた。

「おかえりなさい、あなた! 今日はアワビ作ったの。夜は...

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