第410章 偶然

「上田さん。あなたは高橋家の人間でしょう? そんなあなたがこの方の隣に立っている。それだけで、この方が高橋さんだって証明になるんじゃありませんか?」

鶴来家の三男は、どこか腑に落ちない顔をした。

その言葉に、上田明は胸の内で舌打ちする。――たとえそうでも、お前に言う筋合いはない。

だが表情は崩さず、淡々と言い返した。

「高橋さんは、たまたま同じ名字なだけだとおっしゃっています。偶然ですよ」

鶴来家の三男は頷くと、高橋祐介を見る目に露骨な侮蔑を混ぜた。

詐欺師が、よくも「青年才俊」などと名乗れたものだ――。

もっとも、今は高橋祐介に絡む気はないらしい。視線を上田明へ戻し、口元だけ...

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