第420章

彼らは分かっていた。自分たちに松本家を継ぐ目など、そもそもない。だったらなおさら、松本家の当主が強いほうがいい。

当主の器が大きいほど、回ってくる配当も増えるのだから。

松本大介の手腕も悪くはない。だが松本夢子の前では、どうしても見劣りする。

夢子はまだ二十代。それでも彼女の手掛ける事業は、毎年着実に利益を伸ばしていた。提携相手のほうから「松本夢子」の名を聞きつけて駆け寄ってくることさえある。

ゆえに、夢子が松本家を継ぐのなら——彼らに異論はなかった。

そう腹を決めた一同は、それぞれ席に戻る。そして口を揃えるように言った。

「母上のお決めになったことです。私どもに、異論は一切ござ...

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