第423章 一緒に散歩

「降りるときは気をつけてくださいね。ヒールなんですから」

高橋祐介が、ひと言気遣う。

松本夢子は一瞬ためらったものの、それでも手を差し出し、高橋祐介を見上げて言った。

「高橋さん……よかったら、少し支えていただけますか? 転びそうで怖くて……」

本当は、転ぶのが怖いわけじゃない。――ただ、この一瞬だけでも高橋祐介に近づきたかった。

高橋祐介は足元を見た。確かに歩きにくい。しかも傾斜がきつい。ヒールを履いた女の子が踏み外したら危ないのは間違いない。

彼は手を伸ばし、松本夢子の手を取った。そのまま並んで、ゆっくりと川辺まで降りていく。

川辺には人影がない。遠くを、数隻の船が静かに通...

ログインして続きを読む