第450章 ただの口実

一円家当主は、娘の腹が大きくなってしまえば、もらい手がなくなるのではないかと気を揉んでいた。だからこそ適当な口実を作り、誰かに娘を嫁がせて、この子を産ませようとしていたのだ。

とはいえ一円家は名の通った家柄である。そこらの一般人に嫁がせるわけにはいかない。金浦宜子から「山越英夫なら話が通るかもしれない」と聞いた瞬間、当主は迷わず英夫に狙いを定めた。

そのとき、一円家当主が娘と妻を連れてこちらへ歩いてくる。

山越英夫の両親もまた、彼らの前へ進み出た。

一円家当主は興奮気味に口を開く。

「まさか長年の付き合いが、最後は親戚付き合いになるとはな!」

山越邦生も顔を紅潮させて応じた。

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