第70章

まさか出かける間際になって、景山怜子から電話がかかってくるとは思わなかった。

「高橋さん、今お時間よろしいでしょうか?」

景山怜子の声には、どこか怯えるような響きが含まれている。不用意な発言で高橋祐介の機嫌を損ねることを恐れているようだ。

その様子に、祐介は片眉を上げた。

「ああ、大丈夫だが。どうかしたか?」

「実は、昨日夢子さんを通じてご依頼いただいた薬材の件ですが、準備が整いましたので、今日お届けに上がりました!」

祐介の声色に変化がないことを確認し、怜子はほっと胸を撫で下ろす。以前の一件で、彼がまだ腹を立てているのではないかと懸念していたのだ。どうやら今のところは問題なさそ...

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