第76章

藤原未咲も、その道理は痛いほど理解していた。

たとえ田上新一が協力する気になったとしても、今の彼女の会社の規模では、対等に渡り合うのは困難だ。

距離の問題もある。

それ以外の障壁については、言うまでもないだろう。

「誰が、この市の人間は来ないと言った?」

兄妹二人の言葉に対し、高橋祐介は不敵な笑みを浮かべた。

他の家族がどうであれ、今日、昌栄グループの鈴木祐実だけは必ず来る。

何と言っても、昌栄グループの真の所有者は、彼――高橋祐介なのだから。

自信満々な高橋祐介の様子を見て、藤原麗は冷笑しながら時計を指差した。

「もう十時半よ。あんたたちの言う開業式とやらは十一時からでし...

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