第86章

ボディーガードは何か言いかけたが、高橋祐介が動き出した瞬間、その表情を強張らせた。

「どうやら、死にたいようですね」

そう言い放つと、男は躊躇なく拳を振り上げ、高橋祐介めがけて全力で殴りかかった。

身長二メートル近い巨漢であり、パワータイプの選手だ。

誰の目にも、痩身の高橋祐介との打ち合いでは、高橋祐介が負けることは明白に思えた。

案の定、次の瞬間、会場に乾いた破砕音が響き渡る。

——パキィッ!

その音を聞いた人々は、同情に満ちた眼差しを高橋祐介に向けた。

「せっかく自分から引くチャンスを与えてやったのに! わざわざ死に急ぐとはな。ほら見ろ、腕が折れたぞ!」

誰かがそう呟く...

ログインして続きを読む